word2vec 関連特許

word2vecは、人間が扱う言葉(単語/形態素)をコンピュータが取り扱うことができる数値化する点で重要な考え方です。そして、従前は、単語間の共起関係により数値化するなどの方法が提案されていましたが、それをニューラルネットワークにより算出する点が新しいと言えます。

では、この画期的な考え方は、特許化されているのでしょうか…?

実は、米国で登録されている登録番号US10241997B1(出願番号US.2017 15682374)という特許が存在します。(jplatpatのアドレスは、 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/US-B-010241997/50/ja
権利者は、Google LLCで、年金を払い続ける限り2033年3月15日まで権利が存続します。
この出願を見ると、明細書の図1でCBOWの説明がされており、図3でSkip-gramの説明がされています。そして、請求項1と請求項17は、Skip-gramによる単語のベクトル化について示されており、請求項2~8は請求項1の従属項として示されています。請求項17(システム)は請求項1(計算方法)のカテゴリ違いの請求項です。請求項9と請求項18は、CBOWによる単語のベクトル化について示されており、請求項10~16は請求項9の従属項として示されています。請求項18(システム)は請求項9(計算方法)のカテゴリ違いの請求項です。

さらに、j-platpatでOPD照会(パテントファミリ検索)をすると、これに関連する特許として以下のものが出てきます。

【国・地域コード】【ファミリーID】【出願番号】【出願日】【公開番号】【公開日】【登録番号】【発行日】
US53054725US.201313841640.A2013/3/15US.9037464.B12015/5/19
US53054725US.201514715421.A2015/5/18US.9740680.B12017/8/22
US53054725US.201715682374.A2017/8/21US.10241997.B12019/3/26
US53054725US.201916363460.A20 19/3/25US.10922488.B12021/2/16
US53054725US.202117175550.A2021/2/12US.11809824.B12023/11/7
US53054725US.202318503051.A2023/11/6US.2024070392.A12024/2/29US.12468886.B22025/11/11

いずれも特許権が取得されている国は米国(アメリカ合衆国)です。したがって、純粋に日本国内でのみ利用する場合には上記の特許権の効力は及ばず、自由に実施は可能です。

なお、特許法には属地主義という考え方が採用されています。属地主義とは、「各国の特許権が、その成立、移転、効力等につき当該国の法律によって定められ、特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められることを意味する」ものです。これは、特許法の明文規定があるわけではありませんが、最判平成9年7月1日判決(民集51巻6号2299頁/BBS事件)、最判平成14年9月26日判決(民集56巻7号1551頁/カードリーダー事件)によって確認されているところです。このように、属地主義の考え方が実務では確立されていることにより、純粋に日本国内のみで米国特許を利用する場合は、米国特許権の効力は及ばないことになります。